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2012年09月24日

オリーブのこと


オリーブ・マンザニロ種のたわわな実があれよ、あれよと言う間に膨らんで、
豊かに色づきだしたのは去る8月末のこと。
あわてて収穫から渋抜きに至り塩漬けの行程を踏んでいる最中に、
マンザニロくんの奉公先が決まった。めでたい。

たしかにマンザニロくんのアイディンティティーは『早生』だ。
しかし、それにしてもお彼岸前であるのになぁ、
と、うつろ、うつろしながら暮らしていると早くも時は、
お中日も過ぎて当月も「虫隠れて戸を閉ざす」と謳われる月末を迎えた。
その季節の移ろいを実感しながらミッション種は、
いまかいまかと出番を待つ体制にある。

さてこちら周辺は、
真夏にあっても夕暮れると山斜面の木々の密集した坂から冷気が下りてきて、
辺りの温度がストンと落ちるや、にわかに涼しくなる。
今夏は長雨も手伝ってかその落差がたいへん大きかった。
きっと、例年にないこの環境がマンザニロくんの成長を促したのだろう。
夜中になると夏場でも冷えて陰体質には羽根布団が手放せない。
人生には三つの坂があるというけれど
里山に在るあんな坂、こんな坂、真夏のまさかである。

ところで当地に移り住む前のころ、
鉢植えのオリーブには施肥を行い地植えのものは庭木の腐葉土のみの無肥料で育てていた。
思いもかけず施肥と無施肥のその差が現れたのは、
こちらに住まいを変えてから
その両方を地に下ろして1~2年ほど経った時だった。

それまでは施肥、無施肥のどちらとも元気・快活・爽快・暴れん坊の
多重構造みたいなオリーブの木だったのだ。
特に「鉢」という足かせをはずしたオリーブは、
解放感からか地植え出身のオリーブに比較すると
枝葉の競り具合は傍若無人、葉は色艶を武器に
ハバを利かせてその存在感は人目を引いていた。
それゆえ施肥のオリーブはさすがに体力があるなぁ、とその時は感じ入った次第だ。

しかし真夏の或る日、元鉢植えオリーブに異変を覚える。
それは風になびく瞬間に、ひるがえりながら見せるオリーブの表情だ。
表葉の真みどり色と裏葉の銀色の明暗比に、
しっとりとした深い艶が見受けられないところだった。
顔色がナーバス、というかオリーブ自身が持つ
成長に向けての独特の意気込みが発信されていないなぁ、と感じた。

この路線をたぐるとだいたい見当はつくのはアレ、
おもむろに地面に目を下ろすとやはりコレだった。
オリーブアナアキゾウムシくんたちの宴のあとがノコギリ屑化して散乱している。

後に肥料を与えていたオリーブのすべてがゾウムシ被害で枯渇した。
一方、無肥料のオリーブくんは不思議とその被害を免れ有りがたい事に、
今年は少し実をつけてくれている。
きっと無肥料で育ったオリーブは、
見てくれはもう一つでも害虫に対する自己免疫力を蓄えていたのだろう。

そこで想い出すのは昨年、
湯布院で講演をされた奇跡のリンゴで知られる木村明則さんのお話だ。
「虫を呼ぶのは肥料です」という木村さんのその言葉は、
生きる環境を壊さないようにしましょう、という喚起の声にも聴こえたのだった。

さても数年前、オリーブは無農薬・無施肥で育てるという信念で、
「いつもニコニコ・オリーブ見まわり」という教義を自分の中で作った。
仕事が空くと庭に出てオリーブの木に、
ニコニコっと話しかけながら枝葉を眺め廻し
キョロキョロとオリーブアナアキゾウムシの発見に努める。
これはオリーブが趣味程度の本数だからできる特権だな。

植物はオリーブに限らずいずれもさびしがり屋さんなので、
眺めるだけではなく葉っぱをナデナデしてあげたり、
話しかけると大いによろこんでやる気を起こすようだ。

そういうことで、朝起きるや外に出て、
おはようございま〜す、と声掛けするように努めている。
するとオリーブは一日中、はつらつだ。
などと偉そうだがにっこりオリーブの教祖はお年頃なので、
時おり忘れて数日が経っていたりもしている。




posted by イイジオリーブ at 23:24| Comment(2) | オリーブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
肥料に頼らなければ、それなりにきちんと体力蓄えるのですね。
ウチも、まったくといっていいほど、農薬も肥料も与えてませんが今のところ(受け継いで5年ほどですが)ゾウムシ被害はありません。新しく増やした畑もこの調子でやっていこうと思ってます。
それにしてもマンザニロ早いですね!
私もそろそろ新漬け準備にはいります♪今年も楽しみな季節になりました!
Posted by やぎ at 2012年09月26日 16:53
畑を増やそうとされるその意気込みがすばらしい!
こちらは猫の額ほどでもヨリヨリです。

ゾウムシ被害がゼロとは、それはすごいですよ。
わたくしの方は無施肥のオリーブも何本も枯れました。
ちょっとえらぶった物の言いようでしたが、越してきて間もなく弱そうなオリーブ数本に、
施肥したことがあるんですよ。

ただ、比較すると栄養満点のほうが被害が多いです。
人間とて過食するとロクなことはないというところが良く似ていますね。

Posted by イイジオリーブ at 2012年09月27日 07:29
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