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2012年03月17日

春うらら


春うらら。
いつ発芽したのか、庭では野生種のひなげしが地表を這うように葉を広げている。
これから温かくなるにつれ茎はのびのびと起き上がり、うつ向き加減のつぼみが割れて非色のフレアースカートが風になびくだろう。
この花をスペイン語でアマポーラ。
やわらかい陽ざしの下、赤いひなげしの花を愛しい人に見立てた
美しき愛の歌「アマポーラ」を、口ずさみたくなるのはわたくしだけではないと思う。

と、現実を離れ大気を仰いでいると向こう側の田んぼに、村内きっての世話焼きじいさんの姿が目に入った。
これはマズイ。
別名、「茶くれじじい」は差し出す茶をすすりながら菓子の評価もなかなかうるさい。
そのじいさんがどうやらこちらへ何かを訴えかけているようだ。

もし、もうし。
じいさまのこの抑楊に反応した日には、わたくしの貴重な小一時間をじいさんに持って行かれるのは今までの事例で明らかである。
これは危うい。

かような不首尾を繰り返さぬためには、
「見て見ぬふり、耳に入らぬふり、誰かに呼ばれたふり」
の三ふりを瞬時にこなし姿をくらますこと。
これが危機脱出術の王道だ。
ところが、いざという段になって先方がこれまでにない作戦に打って出た。
なんと、なんと、近ごろ足腰が痛くてのう、と嘆いていたじいさんが田んぼのあぜを、
小走りでこちらへと駆け寄って来たのである。
いやはや想定外。

じいさまをそこまで奮い立たせるものとは一体、わたくしからほとばしる妖艶な魅力であろうか。
あるいは先ほど届いたばかりの宅配物の菓子の存在を見通す透視眼か。
それとも単にじじいのランニングか。
老齢者の謎は増すばかり。

と思いきや、その訳はタヌキであった。
実は先日、じいさんが掘ったヤマイモの穴にタヌキが落ち込んでいるから見に来いということらしい。
現場に駆けつけると地面より80センチほど下方部のぬかるみからキラキラと光る黒い瞳がこちらを見上げている。

この辺りは野生猿の出没も珍しくなく「決して食べ物を与えない事、
人間がエサを与えるとサル本来の自然の生活ができなくなり山に帰られなくなる」
というおふれ書きが回覧されるがタヌキも然りだろう。

ところでちょっと、じいさま。
掘った山芋の穴は埋め戻すのが山でのマナーって教えてくれたのは、
じいちゃんだったよね。

それにしても里山も食べるものが乏しいのか、
自然治癒力が低下しているとみえて皮膚病を罹っているようだ。
体全体の毛が抜け落ち肌が露出しているのが痛々しい。
かわいそうなことだ。
うちの犬も高齢のためかよく禿げるがその時は朝晩、オリーブオイルをちょ、ちょっとつけている。
塗るとなめる。
これを数日、繰り返すと徐々に赤みを帯びていた皮膚は枯れてくる。

ところでじいさんは、「夜間になれば自分で出て行くからな」と語りながらタヌキが這い上がられそうな段取りを穴に仕掛けて一件落着。
それから黄昏まで。
タヌキ汁はタヌキのかたちが体じゅういっぱい出て化かされるぞ、と若い時に喰ったというタヌキ話を聞かされた。
じいちゃん、それはジンマシンだよ。
やれ、やれ。
春はうららか、きょうも日長一日、老老介護。


posted by イイジオリーブ at 01:13| Comment(2) | アマポーラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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