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2012年03月31日

精進の山ザルとわたくし。


当月当初、ジャガイモの植え付け作業を終えた。
ほっと、一息入れていると農業生産者であり、
わたくしの自然栽培の師であるおとなりさんが大きな袋を抱えトコトコとやって来て、
「里芋は植え付け前の小一時間、ぬるま湯につけると芽出しがよくなります」
「植え時は4月後半、では健闘を」、の激励の言葉とかなりの量の里芋を置いて行ってくださった。
食材、ゲット。
タネイモとはいえ素性は自然農だ。
安心安全はお墨付きとばかり日々、食卓に供していたら
植え付け実行月を目前にして底をついてしまった。

茹でて荒くつぶした里芋に塩、白味噌にマヨネーズを加えて撹拌すると里芋サラダ。
もしくはフードプロセッサーにかけた玉ねぎやセロリにオリーブオイルと白醤油を少々、
これを里芋に、もてもてっと深く混ぜ合わせると里芋ディップの出来上がりだ。

ご飯に、バゲットに、打ってつけの簡単レシピが里芋の身上ゆえに、
タネイモは子孫を残すという「タネの使命と信条」から逸脱し本来の食せる正調・里芋に返った。
オリーブオイルに含まれるオレイン酸の胃酸分泌を調整する効能と
芋の滋養のおかげでわたくしの胃壁は修復され、
更に若返りの様相を呈したのは申し上げるまでもない。

かいつまんで言えば、
タネイモにまで手をつけるほどわたくしは芋には目が無い、とたったの一行で済む内容であった。
中でもとりわけサツマイモは、焼き芋一番、天婦羅二番、三時のおやつはふかし芋なのだ。

さて、うちのはす向かいに小さな芋畑がある。
そこの芋と一匹の山ザルとわたくしの一昨年の冬の出来事。
すでにサツマイモの収穫は終わっている時節だったが土中に掘り残しの芋が埋まっている事を、山ザルは野生ならではの嗅覚でそれを察知していたのだろう。
あろうことか庭に出たわたくしは、隣りの畑から芋を失敬したばかりらしき上機嫌のサルとばったり鉢合わせとなった。

その途端、わたくしの顎ははずれて全身が砕けた。
いま想えば猿の面は若く凛々しく山の猿集団に君臨するボスだ、といわんばかりだったような気がする。
猿としてのアイディンティティに溢れる表情とサツマイモを抱きかかえる幼児のような眼差しが
ちぐはぐだったような覚えもある。
わたくしの脳の中の何次元かに残る記憶は、今はもう揺らぎ始めている。
しかし里山とはいえ、我々の生活と隔絶された自然環境の中に生息するサルが敷地内に、
それも芋を引っ提げての参上は、鳥獣戯画図ではあるまいに現実的ではないし予想だにしない。
それだけに一瞬、置き石の如きこげ茶色の個体が目の前でにわかに動き出した時、
わたくしは両腕を天に突き上げたような格好で、ぎゃ、と叫んだまま足腰が萎えたのだった。

ところが恐怖はお互い様だったようだ。
猿もサルで現場からずらかるべく
踵を返そうとしたのか上体を雑巾絞りのようにねじった。

するとその瞬間、腕の中の芋が地面にゴロゴロッと転がり落ちたのだった。
きっと予期せぬ美女の出現で芋を抱える腕が震え思わずほどけてしまったのだろう。
ところが、よくよく目を凝らすと・・・
やはり一世一代の美玉ではないか。
しかるに、険悪そうな眉間でもって「アイタよ」、と舌うちをする表情を見せたかのようであった。
おまけに、かろうじて調達した食料を取り落とし猿はやけくそであったに違いない。

一方わたくしは、驚愕しながらも品性の無さから
滑り落ちるイモを目で追いかけていたがために、上を見上げた時はすでにサルのその姿はなかった。
地べたには置き土産がごろりんこ。
食べもの不足の山から腹をすかせて下りてきて、ようやくありついた食べ物であったろうに、と思うとひどく気が沈んだ。
しかしその一方で、足元に転がる芋に、ほくそ笑む自分が居た事は否めない。

翌日、単独行動をとるサルは「はぐれ猿」だと人から教わり胸がさらなる痛んだ。
それからというものテレビの映像や新聞でお猿さんの話題がのぼる度に、
イモ天で賑わいに転化したあの日の我が夕餉が脳裏をかすめる。
そうして心が折れては、いつもいつも胸の中でお猿さんに詫びるのだった。

とはいえ、サルが芋を取り落とすとはどうしたものだ。
心を痛める第二のわたくしが現われないように、山のお猿さんたちには更なる精進を願いたい。
ひとつ、よろしく。











posted by イイジオリーブ at 14:13| Comment(0) | 山ざる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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