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2012年09月30日

怪我の功名とイボタノキ


坪庭にあるリンゴの木に実がついて、今はほんわりと紅を差している。
園芸店さんから「福岡ではなかなか色づかないよ」とのご指摘だったが、
やってやれない事はない、と植樹を実行して数年が経つ代物だ。

リンゴの味わいは無施肥にも拘らずさわやかな甘さで
歯触りはシャキッとしていい感触この上ない。
きっと苗自体、質のよいものをくださった事に加えて、
「モノは試し」という気合が生きた事例だと思う。

ところが先日、カラスがやって来てこのリンゴの木にひょいと降りるや、
いきなり現物を持ち去ってしまった。
今年は天候不順で数少ない実のひとつだっただけに、なんともうらめしい。
次回、カラスさんの訪問を受けたら是非ともかわいがってあげようと思っている。

さて、かような安穏な田舎暮らしは自然界のおかげであり、
天地間の万物で共に暮らす昆虫や小動物から時折、
チャチャを入れられても文句は言えない部分があるのかもしれない。

邪魔をするといえばオリーブの成長に、
オリーブアナアキゾウムシやハマキムシなど
空からの害虫被害が唱えられているが、
こちらはモグラによるオリーブの根枯れ問題にも出くわす次第だ。
モグラが多いのはミミズが土壌に住み着いているからで良い結果ではあるらしいが、
モコモコとせり上がったモグラのトンネルを、
地面の上から麦踏みのように踏みしめながら歩く坑道潰しが日課ときては、
あまり有難くもない。

先だってモグラ除けに植えていたニワトコが枯れたのは、
ミイラ取りがミイラになってしまったからだ。
仕方なく近くの山で調達して挿し木にとりかかった。
ニワトコは根アカで厳冬以外はほぼ一年中、挿せるようだ。
しかも成長もすこぶる早い。
ニワトコは根の臭さがモグラ除けになる。
欲を言えば、ぼんやりと大きくならないで、
その任務を遂行すべくその意識を持って育ってほしいものだ。

つづいて花色がエレガントだったライラックもモグラ被害に遭う。
ところがしばらくして、枯死した根元から丸っこい形状の葉がお目見えしてきた。
それはそのまま成長し、
初夏には細いラッパの形をした白くて可憐な花をつけるようにまでになっていった。
なんの花だろうと調べてみるとイボタノキという落葉低木と判明したのだった。
どうやらライラックの接ぎ木台として使われていたイボタノキが息を吹き返したらしい。

もっと調査をするとこのイボタノキの樹皮上に寄生するカイガラムシの
イボタロウカイガラムシが分泌する「いぼた蝋」は、
ロウソクの原料や日本刀の手入れに用いるものだと判った。
イボタロウとはイボタの蝋という意味だとか。
そこへ虫という字がつくとずいぶんかわいい響きになるところが笑えるが、
イボタロウカイガラ虫とはどんな虫だろう。
滑稽そうだが仕事ぶりが和芸事に造詣が深い。
これは笑っては失礼というものだ。

それからもっとおどろいたたことは、
この葉の成分がオリーブと同じオレウロペインという
ポリフェノールだったという事だった。

そこで葉を噛んでみるととても苦かった。
その苦さはオリーブ葉というよりも
クロガネモチの葉の味に似ている。
ふむ、ふむ、この苦みがオレウロペインの味なのかな。。

実は当方を含め友人仲間内ではオリーブオイルが
魚の目に有効なことは体験実証済みであるが、
このイボタノキのいぼた蝋はイボ取りにも活躍するらしい。
ちなみにイボタノキもオリーブと同様のモクセイ科だと聞いて、
イボと魚の目がつなぐオエウロペインの不思議な縁に感じ入っている。

思うに、うちのモグラ君がライラックを枯らさなければ
イボタノキは接ぎ木のままの道程であったに違いない。
そしてわたくしもイボタノキの名前はおろか、
オリーブの他にもオレウロペインの化合物を持つ植物が存在することを、
知らないまま過ごしているのだなぁ。
そう考えるとライラックさんには申し訳ないが、
今回の怪我の功名ではモグラ君に大感謝だ。

先日、ふと見たテレビのクイズ番組で、
モグラを漢字で書くと「土竜」たる所以を、
地面下で掘り進む道穴が竜が空を泳ぐ姿に似ているからだと語られていた。
なるほど、なるほど。



posted by イイジオリーブ at 21:07| Comment(0) | イボタノキ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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