ソムリエ講座2期でご一緒したみなさん、『オリーブ2木の会』のブログが出来ました。
一緒にオリーブオイルの素晴らしさを発信しませんか。ご連絡お待ちしております。こちらまで。


●オリーブオイルソムリエって何?と思ったら →  (社)日本オリーブオイルソムリエ協会



2011年10月23日

玉羊羹のごとしオリーブ・マンザニロ


晩秋の気配にこれからをおもんばかるオリーブ・マンザニロさん。
20111018151408.jpg

ぷるぷるっとした艶やかな張りは、まるでゴム風船に包まれた玉嶋屋の玉羊羹。
可愛さあまり楊枝で突きたくなる衝動にかられるも玉の肌にシワが寄りそうで恐い。
画像は、かような自分化に端を発し今年も収穫を免れているオリーブ・マンザニロさんだ。

ところが或る日、その樹形体が目に見えて乱れていると思いきや、実がついているはずの位置にその存在がない。
そこで、おもむろに視線を落とすと地面に、いくつものオリーブが圧ししゃげられた形状で散乱しているではないか。
それはあたかも水分含有量が減り皮膚の真皮層からコラーゲンが減少しまくった肌のような不気味さ。そりゃ、まずかろうというもんだ。
この混沌とした気持ちをいかなる文言で表せばよいのやら、表現不能である。
して、そのこころ模様に気圧されながらもオリーブとわたくしの関係は、
濃密かつ凝縮しオリーブに対しての自分感が一層、強くなっていったのは明確だ。

さて、話は変わり医療技術の進歩と共にペツトの世界も高齢化社会。
飼い主も介護に追われることの多くなってきた昨今だ。
拙宅も15歳なる老犬が日夜、お楽しみ事を提供してくれて目下、愛犬長生きサポート術を満喫しているところである。

中でも朝な夕なの足腰強化運動は欠かせぬ日課だ。
雨が降ろうが槍が降ろうがそんなこたぁ関係ないよ、、という犬からの暗黙のメッセージが要介護の醍醐味と言っても過言ではない。
とはいっても高齢犬であるので必要運動量は自由きままな一人遊び。
その後は称呼、就寝となるのがお決まりだが、足元に近寄る愛犬の口もとを見て、おやっ?とおどろいた。
なにやら濃いムラサキ色の果汁が毛並みに添って染みついている。
しかもオリーブの皮らしきものが口角に貼りついているのだった。

確かにうちの犬は果物が大好物だ。
庭先のクワの実が熟す頃ともなると主幹になりかかりながらデザートと洒落こんでいるし、
完熟いちじくや桃にブルーベリーなど甘い果実には目が無いときている。

014 (3).jpg
 クワの実の蜂蜜漬けは滋養深い。

されどオリーブの実はご周知のとおり渋い、口を絞る、ひょっとこになる、が大原則。
塩漬けのための渋抜きだとて七日間を要するのだ。
うちの犬が老体とはいえオリーブポリフェノール100%の実態を、
まだまだ動物的嗅覚でもって察知できるはずだ。

などと言い切ったが世間では、空飛ぶ円盤に乗ったご仁もおられることであるし
基本を無視した事例が起きてもなんの不思議はないだろう。
そこで真相を探るべく犬の動向を隠密作戦で張っていたところ、
うちの犬がタダ者でない実証を掴んだ。

それはオリーブの実を引きちぎりカミカミした口の中の種を、吐き捨てる図であった。
なんと、山形のさくらんぼの種飛ばしならぬオリーブ種飛ばし。
いや、いや、無宿渡世の日々を克己的に生きる木枯らし紋次郎のくわえた長楊枝だ。ヒュッ
ここは三日月村か。
喩と形容に乏しいが、要するにオリーブの実をいたずらに収穫していたのは、
うちの犬だったという事実である。

なんということだ。
飼い主のやり場のない憤りを察したのか犬本人は、
さっさと踵を返して我が小屋へ自主退去。
この機転の利かせ方は本犬15年の歩みに裏打ちされたものに違いない。
ウ〜ム、犬とて伊達には歳をとっていないのだなぁ、などと感心していたら数日後、
マンザニロさんは色鮮やかなキミドリ蛍光色のハマキムシくんたちの餌食になってしまい
何かを示唆するかのように妙齢の肌を失ってしまった。

玉羊羹は姿を消してオリーブの自然栽培も犬の指導も今は五里霧中。
今はなんだか投げやりな気分になって来ている。












posted by イイジオリーブ at 01:18| Comment(0) | オリーブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月05日

 第21回 オリーブ収穫祭がはじまったよ


ぽつねんとどこかの大草原に身を置く。
月にむら雲。
そこで何を考えるのかというと大海原の方が劇画タッチだったかな・・・とか。
秋の風が濃くなると旅ごころをかきたてられてくるのである。

折しも、小豆島オリーブ公園で始まった『オリーブ収穫祭』は11月30日まで賑わう、との情報が目に飛び込んで来た。
なんと、脚色したようなこのタイミングの良さ。
201010246.jpg


小豆島といえば温暖な瀬戸内海に位置するオリーブ栽培発祥の地。
正真正銘、国産優良オリーブオイルの殿堂の島だ。
ちょうどこの時季、ヒスイやルビー色を醸した宝石のようなオリーブの実もたわわに、
しだれた枝を披露している頃だろう。
201011063.jpg


収穫祭は年に一度のフェスティバル。
開催中はマイオリーブ作りや、オリーブ石鹸教室などの体験イベントが目白押しなんだそうな。
島ではオリーブ公園に拘わらず各オリーブ農園や、旅の宿でも観光客を迎える所作は万端だ。
201010240.jpg

201010241.jpg


さて、観光地の「二十四の瞳映画村」へ向かう道中、モノトーンの風景に差しかかる。
そこが醤油の香りにいだかれる醤の郷(ひしおのさと)だ。

むか〜し、昔のこと。
「醤油の香りだけで何杯のご飯を食せるか」を掲題に、ご当地で仲間と試したことがある。
友人1名が挑み残る数名は写真と取材班。
自分はその構図を傘で隠す役目を仰せつかった。
いえ、ほんと、
挑戦したのはわたしではない。
やだ、ほんとうなんだってば。

当時はレトルトご飯の出始めで今のように安価ではなかったし、
当の白飯といえば今風な作りたての味わいなど皆無。
しかし、友人は勇敢にも挑んだ。
出だしは好調。
時々、そこら辺りに浮遊するもろみの芳ばしい香気成分の空気を、鼻を膨らませながら吸い込み白メシをかっ込む。
何度かその行為を繰り返し3パック目を完食という時だったか、いきなり箸を休め、
大きく宙を見上げた友人は、いきなり!ツクダニィ〜、ツクダニください〜い!!と大声で佃煮を所望して陥落。

結果、ご飯にオカズの大原則を跳ね飛ばし醤の郷の空気だけでワンパック200gX3p=600gをたいらげる。
見上げたものだと友人を褒め称えた。
.うわぁ、すごかぁ、醤油の香りだけでくさ、こげん食べるっちゃもん!
.ようやった、さすがは九州の女やね。
辺りはそこらじゅうが博多弁だ。
たいしたもんやねぇって、こんなこと何がたいしたもんだか

無意味な実行力、阿保らしい体験。
でも、そんなことは問題ではない。
大切なのはその時、答を求めて挑むというやる気を興したということだ。
それは波動でありそのエネルギーは生きて行く上で充分に必要なものだと思う。

あっ、話は醤の里だった。
そう、小豆島はオリーブと併せて一大醤油生産地なのだ。
古来、島は塩作りの名産地だったと聞く。
近くに大豆を耕作する讃岐平野を仰ぎ見る島には、醤油はごく自然に派生した加工品なのだろう。
とはいえ、その道のりを垣間見ると激動の時代に翻弄されながらもたゆまぬ努力で
紡いできた醤油作りへの信念がうかがい知られる。
友人の武勇伝とて、
醤油作りの誇りと芳ばしい香りとが相まって日本人の持つ食指を動かしたのだと思う。

オリーブと醤油。
いずれも島の歴史と表現しても過言ではない2つの調味料が今、
和合しその奥義を伝授せんと数名のソムリエが活躍する。
それは生まれ育った小豆島を、さらに奮い立たせようと鼓舞するかのようだ。
きっと島には美しい静けさと強い志があるに違いない。
さぁて、これは気になる。
みんなぁ!ネットで検索、小豆島に渡ろうよ!




posted by イイジオリーブ at 15:31| Comment(2) | オリーブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月21日

オリーブ葉を用いたタケノコの灰汁抜き


台風の被害に遭われました方々にお見舞いを申し上げます。


雨に打たれたリンゴのサンサさん。
057.jpg

かたや、領土拡大がルーティーンのカモミールさん。
雨の中も日課達成にうれしさあまって乱れ咲きの図。
010.jpg
ここは昨秋の種まき以降、味噌汁やサラダ、オリーブオイルたっぷりのパクチーペーストやフムスなど、
料理の度にお世話になっていたパクチーくんの領地。

そこに現れたるはカモミールさん。
女史は長雨で勢力衰退のパクチー君の憔悴ぶりを知るが早いか、己の可憐さに幅を効かせて領土を拡大。
かような縦横無尽の振る舞いはわたくしたちの世間でもよくあることだが、
汚れない白くて小さな花と繊細な葉や茎を持つカモミールさんからは予想だにできない。
「見てくれ」とは全くあてにならないものだ。

右後方は植えた記憶もないのに忽然と現れて自己主張するグリーンセロリさん。
連作障害もなんのその。
そんなお二方の陣地をめぐるせめぎ合いは、これからが勝負というところ。

して、肝心のパクチー君はいずこ・・・
はい、哀しいかな彼は退行して影も形もなくなったのだった。
それは東京パクチーハウスのパクチー銀行に、種を預けようと思っていた矢先の出来事で、
パクチー長者を目指していたわたくしは今、落胆の日々である。

さて昨年の今ごろ、猛暑で体力が低迷だった時だったか、
埼玉の友人がアサクラオイルさんのオルチョ サンニータ オリーブオイルを送ってくれた。
035.jpg

その琥珀色のなめらかなオイルからは「菜の花の香りがするよ」と教わったので、
さっそく裏の畑からセロリだの長豆だの様々な夏野菜を収穫して蒸すことに。
すると、てんこ盛りだった青葉は手の中に納まるほどほんの少量に丸まって、青菜の弾がんみたいになった。

そのまま水分を両手で絞りオルチョを引きまわしたフライパンでソテーしながらカサを小さくちいさくする。
その半ばで新潟の「安塚の塩」をひとつまみ。
調味料はオルチョと塩だけだ。
中火で作業を続けること数分、鮮明だった青色がみるみる深みを帯びてくる。おっ、食べごろ。
オルチョは鼻頭にガツンと来る野生味ある青草の香り、と覚えたけれど友人は、菜の花だ、と言って聞かない。
はい、はい、貴方のいうとおり。

昨夏はこのオルチョの深い味わいに魅了され夏野菜をタンと食して、熱暑を乗り切ったのだった。
016.jpg
先週の猛暑日、そのガツンを想い出したので取り寄せてみた。
相変わらず青深くてペッパーなノド越し。
夏バテ対策はやっぱりこのオイルかな。

ところで、当局で前フリしていた春の祭典「オリーブ葉によるタケノコの灰汁抜き」実験は、残念、無念、腰砕け。
見事なほどに灰汁は全く抜けていなかった。
036.jpg
右横のオリーブ葉がハートマークでピース!

それどころか、オリーブ葉や木の成分がタケノコに移行したのであろうか、噛んでみるとシャキ、シャキ感を通り越しギシギシと歯に障る。
さらに、喉元をしぼるえぐみ感。
それは迫りくる竹の春めきとでも言おうか。
食すと茹で前よりはるかに竹そのものの味わいで、なんだかパンダにでもなったような気分になって来る。

あの時期、サクランボさんも鈴なりだったなぁ~、
078.jpg

しからば茹で汁の方は?と言うと、ヌカ使用ではないので濁りはない。
そこで一匙、口に含んでみた。ウップ
タケノコの灰汁とオリーブの青葉の成分とが相俟ってか、
こちらもかなりの気合いだ、気合いだ、キアイダ!
とはいえ、その渋みは何かしらん青々しくどこか潔い。
そして胃から腸へとその壁が洗い流されるような気さえしてくるから不思議だ。
まるでオウバク、リュウタン、アオキで作られている和歌山県の胃腸薬、大師陀羅尼錠(だいしだらにじょう)を服用したときの爽快感だ。

結果、オリーブ葉で茹で上げたタケノコの食感は一言で例えるならば「小股の切れあがり過ぎ」。
この方とのお付き合いは遠慮しておくとしよう。
一方、茹で汁はというと防虫散布剤にイケテルかも。
ここにポイントがついて「魅力的タイプ」であった。

かような訳でオリーブ葉によるタケノコの灰汁抜きは不可だった。
考えてみれば米ぬかやトウガラシなど誰にでも手に入るもので出来る一般的なアク抜きがあるのにねぇ。

090.jpg
強い雨と風で腕を垂れてしまったリンゴのフジさん。

しかし、今ふと思うに、春のこの試しみはあながち悪くはなかった。
専門的な薬効はその道の方にお願いするとして、オリーブ葉から抽出される成分とは、苦味の中にもなんと清涼感と清潔感に満ちあふれているのだろう。
これがオリーブ葉の持つポリフェノールの特性なのだろうか、と改めてオリーブ葉の妙に感嘆したのだから。
小豆島でオリーブ茶が生まれたはずだ。

058.jpg
独りですが、だからと言って何の不自由もない、と風に吹かれてのたまうサンサさん。










posted by イイジオリーブ at 14:31| Comment(2) | オリーブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月01日

オリーブの葉でタケノコの灰汁は抜けるのかナ?


想い起こすも、あれは木イチゴの朱色があざやかな五月の或る日。
023.jpg

日本みつばちを誘う青冬(ソヨゴ)も咲いていたし
021 (2).jpg
初夏に開花を迎え秋冬に真っ赤な実が風にそよぐ そよそよ そよご


それは爽やかに浮かんだ。そうだ、オリーブ葉でタケノコのアクを抜いてみよう!
<5月連休ごろのオリーブ>
001.jpg

キッカケは椿の葉っぱだった。
ご近所さんからツバキの葉には、タケノコやワラビのアクを抜く力があると教わった。
それはわたくしにとって目からウロコの話でもここ里山で暮らす人々には、山菜を保存する生活の知恵のひとつでしか過ぎない。
「椿の葉にはお茶とおんなじカテキンとか言うポリフェノールがあんの、ゆで汁はアルカリ性やけんタケノコのアクが取れるとよ」
里山でたゆまず続けられている当たり前のことがおばちゃんの頭には、科学としてしっかりとたたみ込まれているのである。
すばらしい!
思わずわたくしは心の中で居住まいをただした。

では、そのツバキの葉をオリーブに移行させてみたら果たしてどうだろう。
タケノコの灰汁は抜けるのかな。
032.jpg

ところで話は飛ぶが、わたくしは何かと考案するのが好きで、そのアイディアの海で欣喜雀躍すること多々である。
その自負たるはその目のつけどころかな。
たとえば、セミ殻の粉を精進粉でまとめて茹でたものを黒蜜と供していただくセミ団子や、
オリーブの渋を抜く実験として、焼酎を吹いたもみ殻にオリーブの実を抱かせる渋抜き法など、
並の知見や構想からはずれてかなり前衛的なのだから。
(わたくしの名誉もあるので念のために付け加えると、セミの抜け殻は漢方薬の世界では、蝉退(センタイ)と言って、痒みや咽痛・発熱予防、アレルギー性皮膚炎などに活躍する優れ物であり、決してわたくしがゲテモノ喰いだからという訳ではない。)

が、実際のところ、特許電子図書館サービスで検索してみると既に似て非なる着想、
および似ていて更に秀でた発明の特許出願・登録・公開がなされている。
かくして財産基盤を知的なるもので構築する目論みは、
アイディアが浮かぶ度に、方向性と失速力を失い海の藻屑と化すのだが、それはさほどの脅威ではない。
何故ならば、次なる打つ手は準備万端。

さても今回の試しみは、
ただのインスピレーションなので科学やそれに関る技術を発展させるような工夫はない。
しかし、オリーブオイルソムリエにそんなアホみたいなことをした人は居ないわよねぇ・・・みたいな温かい視線をいただければソムリエ冥利に尽きるというもの。

そういえば、オリーオイルソムリエの資格を頂戴して一年が経とうとしている。
協会ではオリーブオイルを知りつくした精鋭のプロ講師陣からそれぞれ専門の熱き講義を受けた。
大いに感銘も受け人生の後半はオリーブオイル、と肚をくくった。

それ以降、オリーブオイルソムリエの本分は、オリーブオイルに精通し推積させた知識と体験を、世の中にひろめながら常日頃の言動に責任を持ち誠実と熱心をもって生業に勤しみ時代の良心となるよう不断の努力をすること。
すなはち「謙虚たれ」と思っている。
そして、そのように研鑚積もうとするも目の前に立ちはだかる何か。
それはどうやらその資質の無さと強靭な意志の欠如のようなのだが、わたくしはめげない。

小高い丘は霞んでも  
040.jpg

さて本題。
オリーブ葉が免疫活性力のあるポリフェノールを持っているのはご周知のとおりで、
葉から抽出したオーレユーロペンというエキスはオリーブ葉の誉れ高い薬効成分だ。
して、椿のカテキンがポリフェノールならオリーブのオーレユーロペンとてポリフエノール。
とは言え、オリーブのそれがアルカリ性だかは、あいにくリトマス試験紙の手持ちが無く不明である。
かといって、今からそれを通販で取り寄せるのも面倒だし、
第一、掘りたてのタケノコが今そこにあるのだから、と言う訳で実行に踏み切ったのだった。

かくて、タケノコの灰汁の行方やいかに・・・
048.JPG
posted by イイジオリーブ at 22:54| Comment(0) | オリーブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月03日

メイド・イン・小豆島の実力。(3)


小豆島はオリーブの聖地だけではありません。野田、銚子(いずれも千葉県)、龍野(兵庫県)、大野(石川県)とならぶ五大醤油産地の一つに数えられます。小豆島で醤油が作られるようになったのは江戸時代から。先人の努力の甲斐あって、その醸造技術は親から子へ、子から孫へと受け継がれ、この地域の文化として根付いています。「実力」を兼ね備えた正真正銘のジャパンブランドです。

ヤマヒサ前掛け.JPG
ヤマヒサ醤油にて


<原料と製法へのこだわり>
400年の歴史を持つ小豆島の醤油産業。その味は、関東人の私にとって、九州産ほどは甘くなく、関東産よりやや甘口といったところでしょうか。特色は「杉の桶」を使用して醸造が行われることで、色、コク、香りのよい、おいしい醤油が作り出されてきました。コクと香りの決め手はよい麹菌を育てること。それには、よい微生物が住みついている桶(こが)と呼ばれる大きな杉桶を使用することがポイントなのだそうです。化学調味料、合成保存料、合成着色料などを一切使用せず、ほぼ1対1の割合の使用される九州の丸大豆、讃岐や北海道の小麦を原料として、桶で発酵、熟成されて極上の醤油がゆっくりと生まれていきます。香川県はうどんで有名なように小麦の産地なのです。

ヤマヒサの杉桶(下部).JPG
ヤマロク醤油の杉桶。醤油造りに欠かせない菌がびっしり


小豆島で醤油産業が発展したのは、原料となる地元で産する良質の塩と、讃岐の麦を活かすとともに、海上輸送の要所である地位を利用して、塩や石材の帰り荷として大豆を持ち込めたこと、そして何より温暖な気候が麹菌を育てるのに適していたからだといいます。全盛期に比べると、醸造所の数は20軒あまりに減っていますが、現在でも、バイオ技術やコンピュータ制御を取り入れるまでもなく、昔ながらの自然の力を活かした醸造方法が伝承されています。

醤油桶上部.JPG
醤油の元になる諸味(もろみ)がじっくりと熟成の時を過ごす(ヤマヒサ醤油)


この醤油を使った佃煮産業も島の特産品。化学調味料、合成保存料、合成着色料を一切使用していない自然そのままの昆布、のりなどの佃煮は絶品。味の決め手は地元で作り出される醤油のコクと香りにほかなりません。佃煮産業の始まりは戦後で、敗戦後の食糧難時代に、地元にあった醤油でサツマイモのツルを炊いたことに由来するといいます。

<心和む「醤(ひしお)の郷」>
島の南東部、馬木・苗羽(のうま)地区は、醤油蔵や佃煮工場が集積しており、「醤の郷」として観光スポットにもなっています。私が道をレンタカーで行き来した休日でさえ、何ともよい香りが車中に漂ってきました。平日の稼働日は一層、醤油の香りに満ちていることでしょう。醤油の発酵によって黒くなった蔵の塀や屋根が続く非日常の風景。「郷」の中を歩けば次々と醤油蔵らしき建物をみることができます。これだけ醤油蔵が密集している地域はおそらく他に例を見ないでしょう。

ヤマヒサ壁面.JPG
ヤマヒサ醤油にて


醤油蔵は現在では20軒ほどにまで減少していますが、桶の本数は1,000本を超えているといいます。醤油、味噌、日本酒など、日本全体で桶の数が4,000本くらいだそうですので、4分の1が小豆島にある計算になるのです。醤油蔵では見学を受け入れてくれるところもあります。小豆島を訪れた折には、香ばしい醤油の香り漂う「醤の郷」の散策を楽しまれることをお勧めします。小豆島の醤油については、醤油ソムリエールでありオリーブオイルソムリエの黒島慶子さんのサイト(「醤の郷」「黒島慶子の醤油日記」)が参考になります。

ヤマロク醤油外観.JPG
ヤマロク醤油


醤丼(ひしおどん).JPG
ひしお丼。醤の郷で作った醤油、もろみを使ったS級グルメ(井上誠耕園のカフェ忠左衛門にて)


<本物、こだわり志向の消費者を取り込め!>
今日の醤油市場をみてみると、マス・プロダクション、低価格化が一段と進む一方で、健康志向、本物志向から、原材料、製法、そしてまさに職人の匠にこだわった商品のマーケットが広がってきたように感じられます。原材料にこだわり、杉桶を使った伝統的製法で作られた濃口醤油、薄口醤油、再仕込み醤油などの小豆島こだわりの製品――まさに「職人醤油」の世界。どのように販路を確保、拡大してファンを増やし、伝統ある技術、職人を伝承していくか。

ヤマヒサでのサンプリング.JPG
ヤマロク醤油でのサンプリング


日本国内の市場縮小の時代を見据えた「攻める」アプローチも有効かもしれません。例えば米国では、日本の食生活が脂肪や糖分の摂取量が少なく、栄養的に非常にバランスがとれていることや、 健康面での多くの効能が知られる DHA や EPA をふんだんに含む魚介類を多食することはよく知られています。こうした日本食の健康的な側面は、ジャパンブランドとしての日本産食品の輸出で大きなセールスポイントになります。

ドバイの醤油売り場(Waitrose).JPG
米国ではありませんが、ドバイのスーパーの醤油売り場


80 年以上にわたって米国で日本食品の輸入、卸を行ってきた日系のあるディストリビューターは、日本全国から集めた希少なこだわり食材を米国で販売しています。醤油、塩、味噌、砂糖、酢、昆布など日本料理の基本となる調味料類のほか、超低温マグロや和牛など、素材・製法に徹底的にこだわった高品質商品も扱います。醤油は米国内でも生産されるなど、幅広い市場を持っています。日本同様、「職人醤油」のようなこだわりの商品を求める層が存在します。

これらには、常に新しいものや創造性を求めているシェフや、「ほかにはない味を出したい」というこだわりをもつ高級レストランの間で需要があるといいます。こうした動きを見据えながら、海外も見据えたアプローチが必要になる時代が訪れるのも遠くないのではないかと思います。さまざまな側面からマーケティングをしっかり行える人材育成も不可欠です。

「実力」に裏打ちされたジャパンブランド、メイド・イン・小豆島の醤油の今後を見守るとともに、オリーブとともに引き続き応援していきたいと思います。

<小豆島の主な醤油サプライヤー>
正金醤油株式会社
金両株式会社
株式会社高橋商店
左海醤油工業株式会社
株式会社ヤマヒサ
タケサン株式会社
ヤマサン醤油株式会社
出所:小豆島町役場 オリーブ情報サイトOlive Station

(おわり)



posted by Mark at 00:10| Comment(0) | オリーブ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。